大島優子 「紙の月 」の評価は？

◆大島優子 「紙の月 」の評価は？


大島優子さんが、映画「紙の月 」の演技を評価され、

第３９回報知映画賞で助演女優賞に選ばれましたね。




作品に寄り添って、正直、誰が助演女優賞としてふさわしいかというと

個人的には、断然、銀行のお局「隅より子」を演じた小林聡美さんだと確信しますが、

大島優子さんに将来性を垣間みたという意味、

これからの更なる活躍を期待しての受賞なのかなと思います。




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また大島優子さんにとっては、この「紙の月」という映画が

ＡＫＢ48卒業後の初出演という意味でも、大変注目が集まった作品になりましたし、

これからの日本映画界を盛り上げていく存在になって欲しいと願っています。



◆大島優子 「紙の月 」の評価は？


さて、ここからは評価というか、私的な大島優子についての考察です。



映画「紙の月」で、大島優子さんが演じる相川恵子という女性は、

小林聡美さんの隅より子という役と共に

原作にはない「映画の中だけに存在する役柄」でした。



主人公・梨花が手を染めてゆく銀行の横領事件がなぜ起こったのか？



という舞台裏の描写では、大島さん演じる相川恵子は、

母親世代に近い年上の梨花に全く臆することなく

たびたび意見して心をかどわかす非常に重要な役柄でした。




そのことは、大島さんも度々インタビューなどで口にされているようですが、

相川恵子という役を演じた大島さんは「梨花の犯行を加速させる役」としては、

とてもいい味を出していたと思います。




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一見、とても開けっぴろげな性格にみえるが保守的な相川恵子という女性を

実にあざとくなく等身大で演じていたという感想を持ちました。



銀行の上司（近藤芳正）と不倫をしつつも、

横領事件が明るみに出たらさっさと退職して田舎へ帰り

市役所勤めの男となんの未練もなく結婚してしまうような女でしたもんね。



ある意味とてもその「いい加減な」キャラクターに、

何とも言えない大胆な強さがある女性を感じましたね。



吉田大八監督も大島優子さんを評して



リアリティを前提としつつ、人間離れした悪魔的な雰囲気も求めていたので

彼女がピッタリだと直感的に思った



と話しているように、

大島さんの魅力は、何とも表現しずらい『小悪魔的で妖艶な色気』と

すごくありきたりの『普通さ』という対極を両方持ち得ている点にあると思います。



とても失礼な言い方になるかも知れませんが、

顔はそんなに可愛い方ではないのに、とても『深い色気がある』というか

そうですね、今までの女優さんでいうと『大竹しのぶ』的な、

なんとも表現しづらい『女っぷり』のある女優さんに大島さんならなれそうな気がします。




そして、映画を見終わった後、

どうして監督は「紙の月」という映画に

原作にはない二人の女性行員を出したのか、ということを考えました。




で、思ったのは、

大島さん演じる相川恵子は人間の『本心』

一方、小林聡美さん演じる隅より子という役は『世間』というものを

人間に置き換えたキャラクターではないかという感想でした。




つまり、梨花は常々『自分の本心』と『世間体』というものに挟まれて生きている。

その梨花を挟み込んだ二つの相反する女性たちが、

梨花の心を鷲掴みにしてに綱引きをするわけです・・・。



とすると、当然、梨花は当然、大きく揺れ動きます。



そう考えてみることで、

三人女性の行動原理が、より立体的に浮かび上がってくるように思いましたが

あなたはどう思われたでしょうか？



紙の月＝ペーパームーン


紙で作った偽物の月「ペーパームーン」は、

その昔、家族や恋人が写真館で撮影する際に座った

木で作った三日月型のブランコのような装置をそう呼んだそうです。



つまり、その装置は『偽物の月』なのですが、

それが転じて「幸福な一瞬」をも意味するようになったんだとか。



偽物の月に腰掛け、笑顔で写真に収まる。



それを見ているのは、家族か、それとも恋人でしょうか？



でも、たとえ腰掛けた月の椅子が「見せかけの月」であっても、

愛すべき人、信じてくれ人が側にいてくれさえすれば、

月は『本物』にもなりうるのかも知れません。



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