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紙の月 実話② [エピソード]



◆映画「紙の月」のネタ元になった実話について



映画「紙の月」は、角田光代さん原作の小説を映像化した作品ですが、

小説は、実際にニュースで報道された銀行横領事件の実話がベースになっているそうです。



なので、今回は、その参考にしたとおぼしき実話の詳細を

映画「紙の月」スピンオフと題してお届けしたいと思います。





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■■ 紙の月 実話ケース②「足利銀行詐欺横領事件の大竹章子」■■


[事件の概要]


1975年(昭和50年)7月20日、

足利銀行栃木支店の貸付係・大竹章子(当時23歳)が架空預金証書を使い、

2億1000万円を引き出していたことが発覚。




栃木署は大竹を詐欺および横領容疑で逮捕した。




また、横領した金を貢いでいた石村こと阿部誠行(当時25歳)も同容疑で全国指名手配、

逮捕に至る。


裁判では、阿部誠行に詐欺・有価証券偽造・同行使罪で懲役8年。

大竹章子には、懲役3年6ヶ月の実刑が確定した。



[事件への経緯]


■出会い


足利銀行栃木支店の貸付係・大竹章子(当時21歳)は、昭和48年夏、

友人と東北旅行した際、仙台に向かう新幹線の車中で

「ゴルゴ13を追って旅をしている国際秘密諜報員・石村」と名乗る男(阿部誠行)と知り合った。




通常なら荒唐無稽で破天荒な話であると受け止められるだろうが、

章子はこの男の話の真偽など問わず、ごく自然に響くように応対したそうだ。



そして、知り合ってわずか10日後には、

結婚話を持ち出しつつ「国際秘密警察を抜けるために資金が必要だ」と話す石村の融資要求に応え、

手始めに60万(父名義の預金)、次に70万(自分の預金)を用立てている。




そして、3回目からは、いよいよ架空の貸し付けのねつ造に手を染めてしまう・・・。




でも、どうして、こんな荒唐無稽な話をする男のことを信じてしまったのか?





公判でも




『なぜ、お金を渡したのかわからない』




と章子は証言したようですが、間違いなく石村(阿部)に好意を持っていたこと、

また一説には、石村が「彼女のありのままの姿を彼が受け止めたからだろう」とする説もあるようです。





実は、章子は、幼い頃、事故で人差し指の先をなくしたため、

銀行内部では云われのない差別を受けていたらしいことがわかっています。

でも、知り合った石村は、そのことについて特段うんぬんすることもなく、

ごく普通に章子に接したという証言があるのです。




つまり、最初の出会いから一種の安心感を心の奥で感じた章子は

石村との共犯関係を結ぶのに十分な感情を持ったと考えていいのではないでしょうか?




そして、章子は、味をしめエスカレートする石村の要求に答えるために銀行の金に手をつけ、

2年にわたり、実に2億1000万円もの金を貢ぎ続けたのです。




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■事件発覚まで


ただ、章子の横領手口は実に幼稚で、

融資調査役の検印を隙を見て白地手形や伝票に捺して自宅に持ち帰り、

自ら金額と定期預金者名を書き込み、職場が忙しい時を狙って現金化するというものだったそうです。





横領が発覚したのは「本店の抜打ち審査」




本店監査人が帳簿を監査したところ、

次々と不審な担保貸付けの伝票が出てきたのが事件発覚の始まりだったとか。


一方、金を貢がせていた石村(阿部)は、

貢がせた金で競馬情報会社やクラブを経営し、愛人と派手な生活をおくっていたらしいです。





そして、特筆すべきは、

章子は逮捕された時も、男の本当の名前や住所を知らない状態だったとか・・・。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



一口に横領事件と言っても、実に奥が深いです。



男による詐欺が発端であったにせよ、

騙されるという受け身の関係性ではなく、

むしろ、大竹章子が積極的に『騙された』ように感じるのは、気のせいでしょうか?




貢ぐという表面的には『男への奉仕』と捕らえられる行為が、

実は、自分の心の中の「足りない何か」を補っている行為なのかも知れません。




なので、映画「紙の月」では、おそらく宮沢りえさん演じる主人公の心に奥深くに巣くう

言葉では表現しがたい感情が掬いとられているのではないか、と今から楽しみにしています。





時代は変わっても、人間の感情は、そう大きく変わるものではないのかも知れませんし、

そんなうまく表現できない感情が「紙の月」というタイトルの正体なのではないでしょうか。





また、事件の是非とは別に、

私たちの生きている社会の姿が「映画」にあぶり出されていることを祈りつつ

劇場で観劇後には、また、映画「紙の月」の感想を投稿してみたいと思います。





最後までお付き合い頂き、どうもありがとうございました。





■関連記事

映画「紙の月」実話:ネタ元について

紙の月 実話①「滋賀銀行9億円横領事件の奥村彰子」の場合

紙の月 実話③「三和銀行詐欺横領事件の伊藤素子 」の場合


■「紙の月」シナリオ




⇒「紙の月」目次:まとめページはこちらをクリック♪




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