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紙の月 実話 ③ [エピソード]


◆映画「紙の月」のネタ元になった実話について


映画「紙の月」は、角田光代さん原作の小説を映像化した作品ですが、

小説は、実際にニュースで報道された銀行横領事件の実話がベースになっているそうです。



なので、今回は、その参考にしたとおぼしき横領実話の詳細を

映画「紙の月」スピンオフと題してお届けしたいと思います。




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■■■紙の月 実話ケース③「三和銀行詐欺横領事件の伊藤素子 」■■■


おそらく、この三和銀行詐欺横領事件の伊藤素子こそが、

映画「紙の月」の宮沢りえ演じる主人公・梅澤梨花のひな形ではないかと想像します。



当時は「三和銀行オンライン詐欺事件」と呼ばれ、

事件を起こした銀行員・伊藤素子(当時32歳)のその美貌と共に、



「好きな人のためにやりました」



という言葉は、流行語になるほど注目を集めた事件でした。





その巨額横領事件が起こったのは、1981年( 昭和56 )3月25日のこと。

伊藤は、朝9時の始業と同時に、三和銀行大阪茨木支店から東京・虎ノ門支店などに

オンライン端末を使って1億8万円を架空送金します。



そして、その後、すぐに銀行を早退して 伊丹空港から羽田に向かい、

昼過ぎには都内支店で1億3千万円を現金化し、

待ちかまえた共犯者に手渡して羽田発国際便でマニラに逃亡。




このあたりは、国外逃亡する「紙の月」のストーリーを彷彿とさせる展開ですね。



そして、伊藤素子と「紙の月」の梅澤梨花に共通するキーワードは、

なんと言っても『金(Money)』でしょう。




また、その金を着服する動機であるのは、男であることも、

また非常に共通している部分であると思います。




ただし、男を繋ぎ止めておくために起こした事件の『貢ぐ』という行為に違和感を憶えたのが、

角田光代さんが小説「紙の月」を書くきっかけになったそうですかから、

そこは決定的に違うと言っていいのかも知れません。




小説「紙の月」の主人公は『お金を介在してでしか恋愛が出来ない女』を描いたそうですから、

ある意味、能動的に男にお金を使う女性像として描かれています。




つまり、この伊藤素子の事件とは、主客が逆転している構図で描いたということだと思います。



女の都合で男を振り回す。



その道具として、お金が必要だった・・・という感じ。

あくまでも、女が主導です。





まあ、平成と昭和の時代性の違いもあり、

恋愛や結婚の価値観は、かなり様変わりしていることを差し引いても、

女性の芯になる部分に「男という名の鍵穴」が存在しているのは、

今も昔も変わらないのではないでしょうか?




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■■■紙の月 実話ケース③「三和銀行詐欺横領事件の伊藤素子 」■■■



伊藤素子という人物は、実に『金』や『男』に関しては

潔癖な女性だったらしいですね。



お金に関しては『家族でも金銭的には他人』と発言するほど

金に対する深い執着があったようですし、

また、男の好みに関しても『目が綺麗で長身、星の王子さまのような人』が理想だったそうですから、

この人物の性格がおおかた想像出来るのではないでしょうか?




そして、この性格が遠因となり、横領事件が起こったと考える向きもあるようですが、

彼女の人生は、いや、男関係は、理想通りとは行かなかったようです。




伊藤が初めて男性と性交渉を持ったのは、二十歳の頃。

お相手は、銀行に出入るする会社のサラリーマンだったそうです。

ただ、半年後、彼には妻子がいる、

つまり、二人の関係は不倫関係であることを知ったというんですね。




けれど、伊藤は彼と別れることを選ばず、

その後、12年の長きに亘って関係を続けます。




その交際期間の間には二度の中絶も経験したらしいですし、

これはもう、どう考えても、どうにもならない恋なんです。

が、この時、伊藤素子がこだわったのは「処女性」だったそう。




つまり、初めて処女を許した相手と結ばれなければ(結婚できなければ)

もう二度と幸せな結婚なんて出来ないと考えた結果が、

12年にもわたる彼との腐れ縁に繋がった。




今では考えられないことですが、

昭和という時代に生きてきた女性の貞操感覚の一端を垣間みるような思いがします。




ただ、やはり時代は変われど、不倫と幸せが結びつかないのは世の常のようで、

心身ともにボロボロになった伊藤の前に現れたのが

事件の共犯者になる「南敏之」でした。





南にも妻子がいましたが、彼は最初から妻子がいることを公言し、

それでも尚、高級レストランで熱心に伊藤を口説いたそうです。




それが彼女には「男らしい」と映ったのだそうですし、

南は長身でハンサム、しかも旅行代理店を経営し、服装もセンスがいいし金回りもいい。

おまけに身体を合わせると相性が抜群で、伊藤はすぐ南に夢中になったようです。




でも、表向きにお金持ちを演じていた南は、

実は代理店の経営に行き詰まり、金策に駆けずりまわっているような状況だったことは

この後、すぐに伊藤の知るところとなります。







肉体関係を結んで二週間後。






南は10万円の借金を伊藤に無心しました。

そして、これが、この事件へ突き進むすべての始まりだったわけです・・・。




その後は、お決まりのパターンで、金の無心はどんどんエスカレートしていき、

遂に自分の預金ではまかない切れない状況になった頃、

南からオンライン詐欺を持ちかけられています。





伊藤はその申し出を頑に拒みますが、

結局は脅迫までされ押し切られてしまいます。




でも、その要求を呑んだ理由は、

決して今後の甘い夢を見たからでも、

南の脅迫があったからでもない、

『金』に執着する彼女自身の性格によるものが大きかったようです。




つまり、このまま南の要求を呑まずに別れてしまうようなことになれば、

それまで南に工面したお金は帰ってこないという事実が、

彼女の犯行の後押しになったのだそう・・・。





「好きな人のためにやりました」




この一見、美談にも取られかねない彼女の言葉が持つ、得も言えない語感は、

そんな彼女の、心奥ひだに絡み付いた叫びの声に繋がっているのかも知れません。




■関連記事

映画「紙の月」実話:ネタ元について

紙の月 実話①「滋賀銀行9億円横領事件の奥村彰子」の場合

紙の月 実話②「足利銀行詐欺横領事件の大竹章子」の場合


■「紙の月」シナリオ




⇒「紙の月」目次:まとめページはこちらをクリック♪




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