宮沢りえ 映画 紙の月 感想 [感想]
今回は、宮沢りえさん主演の映画「紙の月」についての
個人的な感想を綴りたい思いますので、よろしければ、おつきあいください。
◆宮沢りえ主演・映画「紙の月」の感想
宮沢りえさん主演の映画「紙の月」が封切りになりましたが、
もう劇場でご覧になったでしょうか?
私は運良く封切り初日に、劇場で「紙の月」を見ることが出来ました。
なので、今からその感想を述べさせて頂きたいと思いますが、
あくまでも個人的な感想ですので、参考までにとらえて頂けるとありがたいです。
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映画「紙の月」は、ロードショー前からの評判もすごくよい上に、
扱うモチーフが「銀行横領事件」ということでしたので、
どういうサスペンス映画に仕上がっているのか、とても楽しみに劇場へ足を運びました。
観劇する以前に「紙の月」のおおよその話とあらすじは把握していましたので、
映画を見る前に私が考えていたのは、
どうして主人公の梨花は、公金横領まですることになってしま ったのだろうか?
という、この一点に集約して映画を見ようということでした。
そして、梨花にその気持ちが芽生える瞬間をこの目で見極めてやろうという
梨花の観察者、まるで監視者のような目線で彼女を見ていたと思います。
◆宮沢りえ主演・映画「紙の月」の感想
(※以下、映画のネタバレ情報を含みますので、注意!)
映画「紙の月」は、
①梨花と夫との関係
②梨花と顧客との関係
③梨花と年下の愛人との関係
④梨花が勤める銀行内部の人間関係
⑤梨花の過去(高校時代)のエピソード
この5つの要素が複雑に絡み合い、映画を形作っています。
そして、映画のラストには梨花の公金横領が明るみになり、彼女は海外へと逃走します。
結果からいうと、彼女は異国の雑踏に消えてゆき、
警察に捕まったのか、それともそのまま逃げてしまったのかは、ついぞ明らかにはされません。
でも、実はそのことが、この映画で表現された『最大のサスペンス』であるのでは?
というのが、映画を見終わって思った率直な感想でした。
つまり、私は、主人公・梨花を否定する気持ちにはなれなかった。
その自分の意外な気持ちに気づいたというわけです。
自分自身、こういう気持ちが自然と湧き起こったことに少し驚き、
そして、どうして彼女にこれほどまでに魅かれたのだろうという疑問が残ったのです。
罪を犯しながらも美しくなっていく宮沢りえさんの姿に魅了され、
とても心を引かれる思いがしたのはなぜなんだろう?
実はそのあたりの感想は、色んな著名な方が綴っておられるので、
ここでご紹介したいと思いますし、それは私自身の感想とも重なる部分が多いです。
<黒木華(女優)>
控えめに暮らしていたはずの彼女が、罪を重ねるにつれ、
自由に、そして美しくなっていく様子に心を奪われました。
彼女の大胆な美しさは、宮沢りえさんが演じているからこそ、より魅力的に見えた気がします。
ラストシーンの彼女が、私には現実との戦いに向かうように見えました。
<小池栄子(女優)>
彼女が喜び、笑い、美しく輝くほど、胸が苦しく辛かった。 人に求め、必要とされることが生きる喜びなんだと改めて感じ切なかった。 日常に染まる宮沢りえさん、儚くて本当に美しかった。
<橋本愛(女優)>
梨花が静かに狂ってく様は飴玉を欲しがる子供のように見えたし
欠けた細い月が申し訳なさそうに光ってる姿が満たされない淋しい女みたいで
ずっと心臓がうるさかったです。
吉田監督のドライで優しい視点がすごく好きです。
<萬田久子(女優)>
魔がさす…邪念を抱く!!
そんな単純な前兆ではない。 小気味良かったり。壊れたり。
我々の計り知るしたたかな不思議な窓をそっとずっと覗いていたい。
<角田光代(原作者)>
逃げる彼女に、私は叫びそうになった。
逃げろ逃げろ、逃げおおせろと。
狂気すら感じさせる彼女は、この現実社会で、因と正義を背負った私から、 無自覚に抱く「こうあるべき」を取り去って、 棄ててしまえとばかりに走っていくかに見えたのである。
爽快だった。
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皆さんの感想を見ればわかるように、誰もが主人公・梨花に否定的にとらえず、
いや、むしろ、シンパシーさえ抱いているということに非常に驚きますし、
私自身も同じような感想を持ちました。
つまり、この映画「紙の月」は、現代に生きる女性たちの口に出せない複雑な感情を
見事に描いたと言えるのではないかと思います。
そんな不確かな感想を持ちながら映画館を出た私は、
ふと、オープニングの「紙の月」というタイトルテロップが出たカットと
その後の、俯瞰ポジションから切取られた住宅街のカットを思って鳥肌が立ちました。
この二つのカットが、いずれも特定の人物を描いているのではなく、
映画の観客となった全ての人(特に女性)を描いているように思えたからです。
つまり、この映画は、決して一人の女の姿を描いたのではない、
だとすると、今、目の前で目撃したのは、実は「私自身の姿」なかったのかと思ったのです。
驚きでした。
そして、なるほど。だから「逃げろ!」と思ったのか・・・という感想だったのです。
観客の誰もが、映画の主人公・梨花になるとも限らないという事実。
そう感じることが出来ただけでも、
映画というメディアの可能性に触れた大変有意義な一日となりました。
そして、是非、出来ればまた再び劇場へ足を運びたいと思っています。
また心に浮かんだいくつかの疑問を持って。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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2014-11-17 19:03
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